石のそばを歩いた記憶と、旅先で増える重たい思い出
イギリスの美しい場所を、私自身の思い出とともに紹介する「イギリスおかわり!」。
第一話では、子どもの頃に家族でピクニックを楽しんだSurrey Hillsをご紹介しました。
第二話は、少し足を延ばして、イギリスを代表する世界遺産、ストーンヘンジ(Stonehenge)へ。
ストーンヘンジには、これまで何度か訪れています。
最初に訪れたのは、おそらく1970年代。まだ子どもだった頃です。
その後、2000年代にも訪れたように思います。
何度も訪れた場所なのに、思い出そうとすると、はっきり覚えていることと、曖昧になっていることが入り混じっています。
でも、それもまた、昔の旅を振り返る面白さなのかもしれません。
昔は、石のすぐそばを歩けた?
ストーンヘンジといえば、広い草原の中に突然現れる巨大な石の輪。
私の記憶に残っているのは、石のすぐそばを歩いたこと。
実際に石に触れたかどうかまでは覚えていませんが、かなり近くまで行った記憶があります。
現在は遺跡保護のため、通常の見学では決められたルートから眺める形になっています。
石の輪の内側に入れる特別な見学プログラムもありますが、通常の入場券では入れません。
子どもの頃に見たストーンヘンジと、今のストーンヘンジ。
同じ場所でも、時代によって楽しみ方は少しずつ変わっているのですね。
ストーンヘンジは、ひとつだけじゃない?
実は、私が面白いと思ったのは、有名なストーンヘンジだけではありません。
周辺にも、もっと小さな石の輪のような遺跡がいくつもあったことを覚えています。
おそらく、現地ツアーで訪れたのでしょう。
村の近くだったような気がするのですが、詳しい場所は覚えていません。
最近になって写真を調べてみると、どうやらエーヴベリー(Avebury)だったのではないかと思っています。
エーヴベリーは、村の中や周辺に巨石が点在する遺跡です。
ストーンヘンジほど巨大な石の集まりという印象はなかったのですが、調べてみると、なんとストーンサークル全体の規模はエーヴベリーのほうが大きいのだとか!
昔の旅の記憶を、今になって調べ直すのも楽しいものですね。
そして、この二つの遺跡は、まとめて一つの世界遺産として登録されています。
「ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群」
有名な観光スポットだけでなく、その周辺にも目を向けてみる。
そんな楽しみ方ができるのも、旅の魅力だと思います。
ストーンヘンジの謎は、時代とともに変わる
今回、私が参考にしているのは、イギリスの魅力的な場所を100か所紹介した本、『The Real Crown Jewels of England』。
この本の89〜92ページでは、ストーンヘンジが紹介されています。
興味深いのは、ストーンヘンジが何のために造られたのか、その解釈が時代によって変わってきたというお話です。
中世には、アーサー王伝説に登場する魔法使いマーリンが造ったと語られたこともありました。
17世紀には、ローマ人が造ったという説も。
また、古代の宗教儀式に使われた場所ではないか、巨大な天文観測施設だったのではないか、といった考え方も登場しました。
現在でも研究が続けられていますが、すべての謎が解明されたわけではありません。
何千年も前の人々が、あれほど巨大な石を運び、組み立てた。
そのこと自体が、驚くべきことですよね。
そして、ストーンヘンジが夏至の日の出と深い関係を持っていることも知られています。
古代の人々も、今の私たちと同じ太陽を見上げていたのでしょうか。
そんなことを考えると、遠い昔の人々が少し身近に感じられます。
旅先で増える、重たい思い出
ところで、昔の海外旅行には、今とは違う楽しみがありました。
インターネットもスマートフォンもなかった時代。
観光地に行くと、その場所について詳しく書かれた案内ブックレットが売られていました。
私は、これが大好き!
歴史や見どころが英語で書かれていて、写真も載っている。
旅の記念にもなるし、帰ってから読み直すこともできます。
だから、ついつい買ってしまうのです。
ところが……。
一か所で一冊、また次の場所でも一冊。
気がつけば、旅行の荷物がどんどん重くなっていく!
毎回、同じ失敗を繰り返していました。
重たい思い出、といっても、心にのしかかるイヤな思い出では全然ないので、ご安心を!
むしろ、どれも大切な旅の思い出です。
今ならスマートフォンで調べられることも、当時は一冊のブックレットが貴重な情報源でした。
荷物は重くなったけれど、あの紙の手触りや、旅先で本を選ぶ楽しさも、私にとっては大切な旅の思い出です。
現地ツアーは、英語が全部わからなくても楽しい!
私は海外旅行に行くと、現地のツアーに参加するのが好きです。
もちろん、英語で説明を聞くツアーです。
でも、ガイドさんの説明が全部理解できなくても、十分楽しめるんですよ。
実際にその場所を見ながら説明を聞くと、知っている単語が耳に入ってきたり、身振り手振りで意味が伝わってきたりします。
何より、自分だけでは見つけられなかった場所に連れていってもらえるのが魅力です。
ストーンヘンジの周辺にある小さな遺跡も、そんなツアーで出会った場所だったのかもしれません。
もちろん、英語がどうしても苦手という方には、現地で日本語の案内をしてくれるツアーもおすすめです。
大切なのは、英語が完璧にわかることではなく、旅を楽しむこと。
英語ができるようになってから旅に出るのではなく、旅をしながら英語に親しむ。
そんな楽しみ方も、ぜひおすすめしたいと思います。
🇬🇧 リンダ先生の英語ちょこっと解説
今回の本『The Real Crown Jewels of England』から、印象的な一文をご紹介します。
“Each age makes its own Stonehenge.”
(90ページ)
直訳すると、
「それぞれの時代が、それぞれのストーンヘンジを作る」
という意味です。
ここでの age は「年齢」ではなく「時代」。
実際に石を造り直すということではなく、時代によって人々がストーンヘンジに異なる意味を見いだしてきた、ということですね。
英語では、短い文章の中に深い意味が込められていることがあります。
こうした表現に出会えるのも、英語で本を読む楽しみのひとつです。
今、ストーンヘンジを訪れるなら
ストーンヘンジは、イングランド南西部のウィルトシャー州にあります。
ロンドンからの日帰り旅行も可能です。
現地ツアーに参加する方法もありますが、ここでは、自分で旅を組み立てたい方のための行き方もご紹介します。
🚆 ① 鉄道とバスで行く
ロンドンのウォータールー駅(London Waterloo)から、ソールズベリー駅(Salisbury)へ。
直通列車なら、所要時間はおよそ1時間30分です。
ソールズベリー駅からストーンヘンジまでは約19km。
駅前から出る「Stonehenge Tour Bus」を利用すれば、ストーンヘンジまで行くことができます。
名前に「Tour」と付いていますが、ロンドン発のパッケージツアーに参加する必要はありません。
個人旅行でも利用できるバスです。
鉄道でソールズベリーまで行き、そこから自分のペースで観光する。
そんな旅もおすすめです。
バスの時刻や料金は、The Stonehenge Tourの公式サイトで確認できます。
列車の時刻や運賃は、South Western Railwayの公式サイトで確認できます。
🚕 ② 鉄道とタクシーで行く
ソールズベリー駅からタクシーを利用する方法もあります。
バスの時刻に合わせる必要がないので、自由度が高くなります。
ただし、帰りのタクシーも事前に手配しておくと安心です。
🚗 ③ レンタカーで行く
ストーンヘンジだけでなく、エーヴベリーや周辺の村も巡りたい方には、レンタカーという選択肢もあります。
イギリスは、日本と同じ左側通行・右ハンドル!
海外での運転は不安という方も、日本と共通する部分が多いのは嬉しいところですね。
ただし、イギリスにはラウンドアバウト(環状交差点)が多く、田舎道は道幅が狭いこともあります。
また、レンタカーにはマニュアル車もあるため、オートマ車を希望する場合は、予約時に確認しておきましょう。
自分のペースで田園風景を楽しみながら、気になる村や遺跡に立ち寄る。
そんなドライブも魅力的です。
🥾 ④ 最後は歩いてみる
ストーンヘンジのビジターセンターから巨石群までは、シャトルバスが運行しています。
でも、時間と体力に余裕があるなら、歩いて向かうこともできます。
片道およそ30分前後。
草原の風景を眺めながら、少しずつストーンヘンジに近づいていくのも楽しそうです。
イギリスには、公共の歩行者用通路「Public Footpath」が数多くあります。
観光地だけでなく、周囲の風景を楽しみながら歩くのも、イギリス旅行の魅力のひとつ。
ただし、遺跡周辺には立ち入りが制限されている場所もあるため、案内表示に従って歩きましょう。
🚌 ⑤ 現地ツアーで行く
もちろん、ロンドンからの現地ツアーも便利です。
ストーンヘンジだけを訪れるものや、ほかの観光地と組み合わせたものなど、さまざまなツアーがあります。
英語のツアーに挑戦するのもよし、日本語ガイド付きのツアーを探すのもよし。
自分に合った方法で楽しんでくださいね。
見学時間や入場券、アクセスについては、出発前に公式サイトで最新情報を確認しましょう。
ストーンヘンジ公式サイト(English Heritage)
🌍 世界遺産メモ
正式名称: ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群
英語名: Stonehenge, Avebury and Associated Sites
登録年: 1986年
分類: 世界文化遺産
所在地: イギリス・ウィルトシャー州
ストーンヘンジとエーヴベリーは、周辺の関連遺跡とともに、一つの世界遺産として登録されています。
古代の人々が築いた巨石遺跡や祭祀の景観を、広い範囲で守り伝えているのです。
世界遺産について詳しく知りたい方は、ユネスコ世界遺産センターの公式サイトもご覧ください。
おわりに 〜何度でも訪れたい場所〜
ストーンヘンジには、何度か訪れたことがあります。
でも、訪れた時期によって、見たものも、感じたことも違っていたのかもしれません。
子どもの頃には、ただ巨大な石に驚いていたのかもしれない。
大人になってからは、その歴史や謎に、より興味を持つようになったのかもしれません。
そして今、昔の旅を思い出しながら本を開いてみると、また新しい発見があります。
今回、家族でストーンヘンジを見上げるイラストも作ってみました。
実際の私たち家族とは少し違うけれど、なんだか懐かしい。
それでいて、新しい思い出を作っているような、不思議な気持ちになりました。
思い出を振り返っているつもりが、新しい思い出を作っている。
旅の楽しみは、旅が終わったあとも続いているのかもしれませんね。
同じ場所を訪れても、同じ旅にはならない。
だから、旅は何度でも楽しいのでしょう。
いつかまた、ストーンヘンジを訪れてみたいと思います。
今度はどんな発見があるでしょうか。


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